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日はまた昇る

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トランプ政権発足。それは新たな世界秩序の始まり

トランプ大統領誕生

2017年1月20日。アメリカのトランプ大統領が就任した。
トランプ氏の支持者には申し訳ないが、世界中のかなり多数の人が、就任後の世界に不安を感じていると思う。
私もその1人だ。

どんな就任演説を行うのか、アメリカの大統領の就任演説をはじめてリアルタイムで見た。今回のトランプ大統領の就任演説は、夜遅いのに関わらずどんなことを言うのか見なければ眠れないと強く感じた。だからテレビの中継をずっと見ていた。高揚感は全くなく不安だけがあった。オバマ大統領の就任演説は、後日文章でしか読まなかったが、その時とは大違いだ。

そして就任から10日余りが過ぎ、さまざまな情報が断片的に報道されてきた。正直に言って、いろんな情報が錯そうし混沌としていてよくわからない。
だがトランプ氏が本気なことは伝わってきた。トランプ氏は世界を変えるかもしれない。
それは、一民間人の私にも影響があるかもしれない。だからこそ、現在わかっている情報から自分なりに予測をしてみようと思った。トランプ氏がもたらす変化によって私自身が被る被害を、少しでも少なくしたいという思いからだ。

就任演説の内容

www.huffingtonpost.jp
世界中が注目したトランプ大統領の1月20日の就任演説を要約すると次の通りになる。まずは評価を加えず、内容を把握しようと思う。

アメリカ第一

  • 貿易、税、移民、外交問題に関するすべての決断は、アメリカの労働者とアメリカの家族を利するために下す。
  • (産業の)保護主義(注:保護貿易の意ではない)が偉大な繁栄と強さにつながる。
  • アメリカは、雇用を取り戻し、国境を取り戻し、富を取り戻し、夢を取り戻す。

国を再建する

  • 新しい道、高速道路、橋、空港、トンネル、そして鉄道を、国の至る所につくる。
  • アメリカのものを買い、アメリカ人を雇用する。

同盟と安全保障

  • 古い同盟関係を強化し、新たな同盟を作る。
  • 過激なイスラムのテロを地球から完全に根絶する。
  • 私たちの政治の根本にあるのは、アメリカに対する完全な忠誠心だ。
  • 私たちは、軍隊、法の執行機関によって守られている。

アメリカを再び偉大に

  • 私たちは大きく考え、大きな夢を見るべきだ。
  • 全てのアメリカ人に、二度と無視されることはないと伝えたい。団結を呼びかけたい。



ホワイトハウスHPに掲載された基本方針

トランプ政権発足直後、ホワイトハウスのホームページに次の6つの基本方針が掲載された。これはトランプ政権の政権移行チームが準備したものと思われるので、トランプ政権の今後の方針を考えるうえで重要だと思う。これもまた、まずは評価を加えず、要約して内容を把握しようと思う。

エネルギー政策のポイント

外国の石油への依存から脱却する。

  • シェールガス、オイルの採掘の増産。そしてその収入を、道路、学校、橋、公共インフラの再構築に使う。
  • きれいな石炭技術の開発。石炭産業の復活。
  • OPECや敵対国の石油への依存から脱却する。及び反テロ戦略の一環として湾岸諸国と協力する。
  • きれいな空気と水の保護。自然の生息地を保護し資源を保護する。

外交政策のポイント

力による平和を指向する。

  • ISISや他の過激なイスラムのテロ群を倒すことが最優先事項。必要な場合には共同軍事行動や軍事提携を行う。
  • 国際的な協力を行い、テロリストへの資金を断ち切る。
  • 情報を共有して、ネットでのプロパガンダと人員募集を中断させるサイバー攻撃を行う。
  • アメリカ軍を再建し、軍の優位性を確保し続ける。(別項で更に説明している)
  • 全てのアメリカ人のための貿易協定(別項で同様の内容を再度説明している)

雇用政策と成長政策のポイント

今後10年間で2500万人の新規雇用を創出し、年間経済成長率を4%にする。

  • 労働者と企業を支援するために成長促進税制改革を行う。
  • 各税率区分でアメリカ国民の税率を下げ、税法を簡素化し、世界最高水準の法人税率を下げる。
  • 雇用に関する新しい連邦規制の一時停止を提案し、その間に廃止すべき雇用規制を特定する。
  • 貿易相手国に、違法もしくは不公平な取引慣行をさせない。

国防政策のポイント

軍を再建し、軍の優位性を確保し続ける。軍人と退役軍人に対するケアを拡充する。

  • 他国の軍事力がアメリカを上回ることを許さない。最高水準の軍備を維持する。
  • 軍予算の強制削減処置を停止し、新たな予算処置をとる。軍指揮官に必要な軍備を計画させる。
  • イランや北朝鮮などの国からのミサイル攻撃を防ぐ最新のミサイル防衛システムを開発する。
  • 国家安全保障の秘密とシステムを保護する防衛的で攻撃的なサイバー能力を保持、拡充する。
  • 軍人とその家族に、従軍中だけでなく退役時にも、最良の医療、教育、支援を行う。
  • 退役軍人が必要なケアを必要な時にいつでも提供する。

安政策のポイント

法執行力(警察力)を強化し、犯罪や暴力をなくす。

  • 殺人などの凶悪犯罪を減少させる。
  • 憲法修正第2条、つまり銃保持の権利の規定を維持する。
  • 不法入国を阻止し犯罪者と違法薬物の流入を止めるため、国境の壁を建設する。
  • 国境法を制定することに加え、不法移民を保護するサンクチュアリシティを終結させ、不法移民の流入を止める。
  • アメリカにいる凶悪犯罪を犯した不法外国人を追放する。

貿易政策のポイント

アメリカ労働者とビジネスを優先した貿易交渉を行う。これにより雇用をアメリカに戻し、賃金を増やし、アメリカの製造業を支援する。

  • 太平洋横断パートナーシップ(TPP)から撤退する。
  • 新たに貿易協定を締結する際にはアメリカの労働者の利益になることを確かめる。
  • 北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を必ず行う。もし該当国が交渉を拒むなら脱退する。
  • 貿易協定に違反する国を徹底的に取り締まる。



トランプ政権の閣僚・高官からみるトランプ政権の性質

次にトランプ政権の閣僚・高官の中から、数人注目している人をピックアップして、トランプ政権の性質を考えてみたい。
www3.nhk.or.jp
www.johoseiri.net

スティーブン・バノン首席戦略官兼上級顧問

「オルタナ右翼」の定義はとてもあいまいだ。強いて言えば、既存の保守主義にあきたらない人としか言いようがない。少なくとも「オルタナ右翼」に思想的統一性はない。
それをふまえてもなお、トランプ政権の「オルタナ右翼」的側面を指摘せざるをえないと思う。
トランプ政権での「オルタナ右翼」の代表格は、バノン首席戦略官兼上級顧問と思う。バノン氏は最近こんな発言をして注目を浴びた。
digital.asahi.com魚拓

「オルタナ右翼」は「新保守主義ネオコン)」を嫌っている。
「オルタナ右翼」は「旧保守主義(ペイリオコン)」とは比較的相性がよいが、宗教的厳格さでは「旧保守主義(ペイリオコン)」と意見を異にする。
「オルタナ右翼」は「新自由主義リバタリアン)」と共通する要素も多いが、自由貿易や移民政策では「新自由主義リバタリアン)」と意見を異にする。
「オルタナ右翼」の排他的な言動や露骨な嫌悪感情に目が行きがちだが、政策を予測するにはそれだけでは不十分だ。
「オルタナ右翼」に思想的統一性はないが、「反グローバリズム」「反移民」「反自由貿易」「反エリート」「反リベラル」という特徴があり、その考えが、トランプ政権に影響を及ぼすのは間違いないだろう。
www.newsweekjapan.jp

ピーター・ナヴァロ国家通商会議委員長とジェームズ・マティス国防長官

バノン氏のような「オルタナ右翼」と思われる閣僚・高官がいることと同時に注目すべきことは、トランプ政権には、ナヴァロ国家通商会議委員長、マティス国防長官のように「国際関係論でいう現実主義」(以降「リアリズム派」と統一して記述する)と思われる閣僚も相当数存在しているということだ。
ナヴァロ氏は対中強硬派といわれるし、マティス氏は狂犬マティスとよく報道される。彼らの強面(こわもて)な部分に注目が行きがちだが、その根本となる考え方は、バノン氏のような人とは異なる。この違いを認識すべきだ。
www.bbc.com
jp.wsj.com
なお、「国際関係論でいう現実主義」、すなわち「リアリズム派」についての説明は、次の文章がわかりやすいように思う。

第8章 国際関係理論とは何か?(PDF)
国際関係論 <第2版> 弘文堂 (立ち読みとして公開している)

トランプ政権の性質

トランプ氏自身はともかく、トランプ政権を「オルタナ右翼」政権とだけレッテル張りするのは、偏った見方だと思う。トランプ政権は「リアリズム派」が支えている。彼らが実務で主導権を握れば、トランプ政権は「リアリズム派」政権の性質が強くなり、「オルタナ右翼」と思われる閣僚が主導すれば、トランプ政権は「オルタナ右翼」政権の性質が強くなる。
各閣僚・高官の考え方、政治的立ち位置を把握した上で、その閣僚が責任を持つ分野に注目すべきと思う。その観点から導いた、私のトランプ政権の予測その①は次の通り。

予測その①
トランプ政権は「オルタナ右翼」的側面と「リアリズム派」的側面と二面性を持つ。
個別の政策では、この二つが混在する形で表れてくる。
私は、トランプ政権では、「移民、国境管理、入国審査」「国内治安対策」「メディア対策」などでは「オルタナ右翼」的政策が中心となり、「外交」「安全保障政策」「通商政策」などでは「リアリズム派」的政策が主となると予測する。
総じていえば、国内向けには「オルタナ右翼的側面」が、対外向けには「リアリズム派的側面」が前面に出てくると予測する。



『米中もし戦わば 戦争の地政学』の内容(まとめ)

米中もし戦わば

米中もし戦わば

トランプ政権の政策を考える上で、この本は必読だと思う。トランプ政権は、経済重視の政策をとってくると思う。私はその際、トランプ大統領によって強い権限を持って新設された「国家通商会議」が重要な役割を果たすと考えている。その「国家通商会議」の委員長が自ら書いた本であることが、この本を重要だと思う理由だ。

この本は、原題を“Crouching Tiger: What China's Militarism Means for the World”(飛びかかろうとする虎 世界における中国の軍国主義の意味)という。
中国がとびかかってくると危機感を露わにしている分、原題の方が邦題より、この本の内容をよく表しているようにみえる。

邦題を読んだだけでは、アメリカの方が中国と戦争をしたがっている好戦的な本と誤解する人がいるかもしれない。それは誤りだ。
この本の主題は、米中戦争の回避にある。

ここではまず『米中もし戦わば 戦争の地政学』を簡単にまとめておきたい。
そして項を改めて、この本の内容と、前述のトランプ大統領の就任演説、およびホワイトハウスHPに掲載された方針とを比較しながら、トランプ政権の「リアリズム派」的側面を分析したいと思う。

構成

この本は、第一部~第六部の六部構成になっている。

  • 第一部:中国が軍国主義をとる理由を3つ挙げている。
  • 第二部:中国の持つ軍事力を、全部で14個のトピックで分析している。
  • 第三部:アメリカと中国が戦争になるとすれば、どのようなことで生じるのか、全部で10個のシチュエーションで分析している。
  • 第四部:アメリカと中国が戦争になった場合、どのような戦争となるのか、全部で5つのトピックで分析している。
  • 第五部:アメリカと中国の戦争を交渉で回避する可能性について、全部で6つのトピックで分析している。
  • 第六部:アメリカと中国の戦争を回避し、平和を維持する方法について、全部で6つのトピックで分析している。

第一部「中国は何を狙っているのか?」

中国が軍事力を増強している狙いは3つあると考えられる。2つは平和的な目的だが、1つはその意図に疑念を持たざるをえない。
中国の狙いは、次の3つと考えられる。

  • 侵略を受け続けた屈辱の100年間を繰り返さず、2度と侵略されないため。
  • 現在の経済成長を支える海上貿易のシーレーンを守るため。
  • 現状の国際関係における中国の立場に不満があり、経済成長と軍事力をアジアにおける影響力拡大に利用するため。

第二部「どれだけの軍事力を持っているのか?」

中国は、近代化の進む通常兵器(機雷、ミサイル、空母、戦闘機)だけでなく、アジアのパワーバランスをラジカルに変える恐れのある、破壊力の極めて大きい軍事技術の数々を保有している。
それは、まず対艦弾道ミサイル、次に多種類の対人工衛星兵器、そして戦闘機を墜落させたり航空管制や銀行ネットワークや地下鉄システムなど敵国内の民間施設を麻痺させる能力のあるコンピュータ・マルウェアなどである。
現状変更意図を持つ中国の軍事力が増大し続けるにつれて、紛争が起きる可能性も増大し続ける。中国は間違いなく、アジアの平和と安定にとって脅威になる。

第三部「引き金となるのはどこか?」

米中戦争の引き金となる可能性がある事象は、具体的には、台湾併合、北朝鮮尖閣諸島西沙諸島、九段線、中国のEEZの領海化、水不足のインド、中国のナショナリズム、中国の地方官僚の暴走、中露軍事同盟成立などである。
中国とその周辺国の現状には、不確実なことが増大しており、これもまた将来米中間で戦争が起こる可能性を年々増大させている原因でもある。

第四部「戦場では何が起きるのか?」

もし米中間で戦争が起こった場合、質で勝るアメリカ軍に対して、中国軍は量で対抗する。質についても、中国軍の技術力が進歩し、その差は年々縮まっている。
今後アメリカ軍のとるべき戦略は、「エアシーバトル戦略」(中国本土への攻撃も視野に入れて、前線、特に海空で戦う)なのか、「オフショア・コントロール戦略」(チョークポイントで海上封鎖し中国の通商路を絶つ)なのか、あるいはその「ハイブリッドな戦略」なのか。

比較検討をしてみたが「エアシーバトル戦略」も「オフショア・コントロール戦略」も「ハイブリッドな戦略」も問題を抱えており、米中間に戦争が起これば短期間で勝利できる可能性はほとんどないと考えられる。米中間の戦争がもし生じれば、戦争は長期化する。更に核戦争にまでエスカレートする可能性は十分にある。被るダメージを考えれば戦争は論外だ。だからこそ戦争にならない方法を見つけ出す必要がある。

第五部「交渉の余地はあるのか?」

クリントン政権は、中国を欧米流の平和的民主国家に変えるためのツールとして中国との経済的関わりを促進し、中国のWTO入りの道を開いた。
WTO加盟後、産業界は一斉に生産拠点を中国へ移しはじめ、アメリカでは産業の空洞化が進み、貿易赤字が膨れ上がった。
中国に相応の市場開放をさせることなく、アメリカの市場を開放したことは、結果として中国共産党の独裁体制の強化と、中国軍の軍事力増強を強力に推進することになった。それにより戦争の危険は増大し続けている。

軍事的な抑止、つまり核兵器による通常戦争抑止についても、中国には効きにくい。例えばオバマ大統領のアメリカのように、アメリカが合理的で穏当な判断を行うと中国が確信すればするほど、例え中国が通常戦争を起こしても、それによってアメリカが核兵器で報復しないと考えるようになる。
さらに中国は、軍の意図や軍備などを不透明にし、危機時のコミュニケーション手段をアメリカに与えず、中国は何をしでかすかわからないとアメリカに思わせることで、アメリカの報復意図を挫こうとしている(マッドマン・セオリー)。

更に中国は、自国の利益のために、公然と条約を破ることも辞さない。
中国との交渉は非常に困難だ。
ならば中国との平和を維持するには、力を利用した平和以外の選択肢はないと思われる。

第六部「力による平和への道」

中国は、単に軍事力だけではなく、「総合国力」の視点から世界を見ている。
「総合国力」とは、軍事力という「ハードパワー」だけでなく、経済力、労働力の熟練度、政治体制の安定度、天然資源、教育制度、技術革新、その国の同盟の性質や強度といった「ソフトパワー」も重視している。
「総合国力」というコンセプトは、「戦わずして勝つ」という孫子の格言に根ざしている。「戦わずして勝つ」といっても、全く戦わないということではない。政治戦、経済戦、科学技術戦、外交戦など、ありとあらえる手段を使い中国の勝利を手に入れるという考え方だ。

アメリカは、「総合国力」を保たねば平和を維持できない。

まず「経済を健全化しなければ、アメリカは中国に対抗できない」ということだ。
そのために必要な第一の戦略は、対中貿易の不均衡の是正である。アメリカが、中国製品を買えば買うほど、中国の軍事力増強に手を貸すことになる。インフレ率の上昇を招いても、貧困層に負担が偏るという左派からの批判をうけても、自由貿易を信奉してきた右派からの批判をうけても、対中貿易赤字を放置してはならない。
第二の戦略は、税制改革である。アメリカの世界一高い法人税は、製造業と雇用が国外へ流出する原因となっている。政治的論争を引き起こすだろうが、法人税率の引き下げは重要だ。
第三の戦略は、現在中国に略奪されるがままになっている、軍用及び民間の知的財産権の保護である。企業秘密や軍事機密の窃盗を中国に一切許してはならない。
最後に、教育制度の再建も必要だ。奨学金という多額の負債を生徒自身に負わせることなく将来の職業人を育てる必要がある。

次に軍事力の強化が必要だ。中国がアジアで軍事的優位に立てば、それはさらなる侵略行為に繋がる。それを防ぐには、中国の対抗戦略のターゲットにされているアメリカの戦略の脆弱性をなくすことだ。
第一に、脆弱性を持つアメリカ軍基地人工衛星資産を強化すること。中国の人工衛星ネットワーク破壊のための兵器の開発だ。これは比較的安価にできると考える。
第二に、制空権の確保を続けるということだ。これは戦闘機の価格の高騰の問題があり、多額の予算が必要と思われる。
第三に、潜水艦戦と機雷戦が抑止力の鍵を握るということだ。これは中国の対処戦略をそのまま逆に中国にしかけるという効果がある。

アメリカは同盟国を守るという鉄則を貫く必要がある。
もしアメリカが尖閣諸島を守らなければ、アメリカの深刻なダメージになる。アジアの平和と繁栄を持続させるためには、台頭する中国の力を相殺してバランスを取るための同盟が必要だ。
さらにアメリカは中国の脅威を直視する必要がある。中国は、多額の費用を支払い多数のロビイストを使うことで、アメリカの政治プロセスに直接介入している。
また中国に対するマスコミの論調を和らげるために、中国は巨額の広告費を使っている。中国をネガティブに書かなくなったという自主規制の動きは、マスコミだけでなく、ハリウッド映画にも、研究・教育機関にも広がっている。

(まとめおわり)

補足

先にも書いたが、この本は「国際関係論でいう現実主義」に基づき書かれている。ここでいう「現実主義」とは一般的な意味の「現実主義」ではないので注意してほしい。実際この本にも訳者注としてこんな記述がある。

国際関係論で言うリアリズムは、日常用語としての現実主義とはかなり異なっている。(p312)



就任演説、基本方針と『米中もし戦わば』の共通点

経済政策

トランプ政権は、2500万人の雇用と4%の経済成長を掲げた。
『米中もし戦わば』では、『「総合国力」を保たねば平和を維持できない』と指摘し、そのために「経済を健全化しなければ、アメリカは中国に対抗できない」と指摘している。
経済成長を約束するのはどの政権も同じであるが、『インフレ率の上昇』や『貧困層に負担が偏る』ことや『自由貿易』を制限してでも(中国との)貿易赤字を削減する意欲を見せているのは、トランプ政権の特長である。
貿易赤字については、この本では中国に対する貿易赤字を問題にしているが、実際上は中国だけの貿易赤字を問題視することはありえないので、貿易赤字の大きい*1、中国、メキシコ、日本と名指ししているのだろうと思う。なおドイツに対するアメリカの貿易赤字は、日本より大きいので、いずれ標的になると思う。
(追記:この記述は2015年の数値に基づき書いた。この投稿を書いた後、2月8日に2016年のデータが発表された。2016年のアメリカの貿易赤字額は日本の方がドイツより大きかった。)
その他、法人税の削減など、細かな点で一致点は多い。

予測その②
トランプ政権が行う二国間貿易協定交渉では、雇用を取り戻すことと並んで貿易赤字の削減が目的になる。
貿易交渉の主たる対象国は、中国、ドイツ、日本、メキシコだろう。特に問題視しているのは、中国であると考えられる。一方、最も交渉を行いにくい相手と考えているのも中国と思う。
まずは、交渉相手国に交渉上の弱みがある日本とメキシコを優先して交渉する。その際、為替と関税をちらつかせ、交渉を優位に進めようとするだろう。
中国とは、十分に準備を整えてから、貿易戦争辞さずという強い態度で交渉に臨むと予測する。

軍事政策

「他国の軍事力がアメリカを上回ることを許さない」という強い決意は共通である。
アメリカ軍の脆弱性の防衛強化と、それを実施するために必要な予算処置が政策の柱になると思う。
『米中もし戦わば』では、制空権の確保と潜水艦戦・機雷戦の重視があげられているが、それを踏まえたと思われるトランプ大統領の動きもある。
www.nikkei.com
diamond.jp

予測その③
トランプ政権の軍事政策では、最大の仮想敵国は、ロシアではなく中国になると予測する。
中国に対しては、軍事的により強い対応をとるようになる。
その主たる舞台は、南シナ海東シナ海、それに宇宙とサイバー空間になるだろう。
なお、軍事政策は技術的な部分が大きく影響するため、その政策実行はマティス国防長官が代表する専門家チームに任されると予測する。

なお、軍事政策のうち、イスラム過激派に対するものは、別項で考えることにする。


異質な政策=治安政

トランプ政権のとてもエキセントリックな雰囲気から受ける印象とは異なり、ホワイトハウスHPに掲載された基本方針のうち、雇用政策、成長政策、貿易政策、外交政策、国防政策、そしてエネルギー政策の一部については、(実現困難度は別として)目的は十分理解可能と思う。「アメリカ第一」のフレーズが独り歩きしているきらいはあるが、アメリカがアメリカの国益を追求することは責められないし、当然と思う。

しかし、ホワイトハウスHPに掲載された基本方針の中で、他とは異質な政策がある。
「治安政策」である。

ここでもう一度「治安政策」のポイントを記載しようと思う。以下の通り。

  • 殺人などの凶悪犯罪を減少させる。
  • 憲法修正第2条、つまり銃保持の権利の規定を維持する。
  • 不法入国を阻止し犯罪者と違法薬物の流入を止めるため、国境の壁を建設する。
  • 国境法を制定することに加え、不法移民を保護するサンクチュアリシティを終結させ、不法移民の流入を止める。
  • アメリカにいる凶悪犯罪を犯した不法外国人を追放する。

上記から、注目すべきキーワードをひろうと次のようになる。
「銃保持の権利維持」
「国境の壁」
サンクチュアリシティの終結」
「不法外国人の追放」

これらについては、少し考えただけでも、様々な問題や疑問が出てくる。
例えば、
アメリカに広く蔓延する銃が、逆に凶悪犯罪やテロの温床になっているのではないか?
国境の壁を建設することで、本当に不法入国を阻止できるのか?
サンクチュアリシティは、本当に不法移民の天国なのか? それを終焉させれば、本当に不法移民はなくなるのか?
不法移民を追放することが、本当にアメリカの国益になるのか? 憲法違反ではないのか? 等々だ。

この投稿は、これらの是非を考えるのが趣旨ではないので指摘に留めるが、これらの問題、疑問に対して、アメリカ国内のコンセンサスはないと認識している。これらはアメリカ国民のそれぞれの政治的立ち位置により、完全に見解がわかれるものだ。
つまり「治安政策」は「党派性」が強くでているものになっていると言える。
「治安政策」こそ、トランプ政権の「オルタナ右翼」的側面が強く出ているものと思う。それはアメリカの分裂を更に広げることになるだろう。

予測その④
トランプ政権の「治安政策」は「オルタナ右翼」の主張が前面に表れたものになる。
その結果、トランプ政権の「治安政策」は、アメリカのリベラル層を中心に強烈な反発を招く。その一方で、共和党支持者を中心に支持、評価も広がる。
アメリカは更に分断し、深刻な亀裂を抱えることになる。
いずれそのこと自体が、アメリカの治安を脅かすことになると予測する。トランプ政権であり続ける限り、騒動は絶えない。
そして、それは世界を巻き込んでいく。

正直に言うと、この予測は外れてほしい。アメリカが深刻な亀裂を抱える前に、和解し、団結と協力体制が築かれることを望んでいる。ただとても残念なことは、もしトランプ政権がこの政策を取りやめれば、リベラル層は快哉を叫ぶだろうが、そのことがまたアメリカの断裂を深めるだろうと思えることだ。続けても断裂を深め、止めても断裂を深める。この問題の場合、続けるでもなく、止めるでもない答えというのは、そもそも存在するのだろうか?


イスラム過激派のテロ根絶政策とイスラムフォビア

イスラム過激派のテロ根絶」こんな強い言葉は、日本の政治家には言えないなと半ば感心しつつ、例えアメリカでもそれは相当困難だろうと思う。
なぜならば、テロ根絶の決定打は未だ見つかっておらず、テロ防止の手段も限られたものしかないからだ。
外交政策のポイントにあげられたテロ対策は次の通り。
「共同軍事行動や軍事提携」
「テロリストへの資金を断つ」
「プロパガンダと人員募集を中断させるサイバー攻撃

これらの対策は、妥当なもので効果も期待できるが、残念ながら即効性のある決定的な対策ではない。そういった対策の効果をトランプ大統領は気長に待つのだろうか?
答えは「NO」だろう。

トランプ大統領がテロ対策に対して性急に成果を求めたとき、トランプ政権の持つ二面性から、2つの異なった動きがでるのではないかと考える。
それを垣間見せるできごとが既にあった。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170130/k10010857481000.htmlwww3.nhk.or.jp
トランプ政権は、明らかにイランに対して対立の姿勢を見せていて、その姿勢からこれまでオバマ政権の対応に不満を持っていたサウジアラビアから譲歩を引き出しやすくなっていると思う。
サウジアラビアと、同じスンニ派の国であるアラブ首長国連邦を説得して、シリアとイエメンで安全地帯を作るという構想について支持をえた。またトルコはもともとこの安全地帯構想を支持している。
イエメンの紛争はもう少し長引きそうだが、シリアでの安全地帯の設定構想は、シリアの紛争の幕引きを見据えた動きと考えるべきだろう。
シリアでは、ロシアの支援するアサド政権側が優勢となっている。その現状をサウジアラビアに認めさせ、シリアのスンニ派の生き残る場所を確保しつつ、アサドを支援しているロシアと取引を行う前段階の動きと考える。
(もともとそんな理念はトランプ氏にはなかったと思うが)オバマ政権時代の『「アラブの春」による民主化の戦い』という理念を捨て、シリアの紛争を「世界vsテロ組織」という一軸の対立構造に整理し、ISとアルカイダ系組織を叩くことだけに集中する。この一連の流れはとても「リアリズム派」的だなと思う。

一方で、悪評高い「イスラム7か国の入国禁止」を命じる大統領令も同時に出した。
この入国禁止令にテロを防止する効果はないと思う。それすらわからないほどトランプ大統領は愚かなのだろうか? それすら指摘できないほどトランプ政権の閣僚、高官たちは愚かなのだろうか?
これもまた、答えは「NO」と考えるべきと思う。
では何を狙ったのか?

一つめの仮説は、なぜ入国禁止対象とした国に、イランが入っており、サウジアラビアが入っていないのか?ということを考えることによって導いた。入国禁止の大統領令によってイランとの対決を明確にすることで、オバマ政権時代にイランと接近したことで傷ついたサウジアラビアとの関係を修復し、同盟強化を呼びかけているように思える。
そして、二つめの仮説だが、トランプ政権の支持層の持つイスラムフォビアをなだめるために出したというものだ。この仮説は「そんなもの誰でもわかってるよ」と言われると思うが、私は心の片隅で「アメリカ国民の多数は、こんな乱暴な政策に反対するだろう」という予断を持っていたようで、この仮説を否定していた、いや否定したかったのだと思う。
ところが、ロイターの世論調査を見て、私は正直びっくりしてしまった。
jp.reuters.com
トランプ大統領は、正しくアメリカ国民の現状をみている。
この入国禁止令は、「オルタナ右翼」的政策といえる。だが「オルタナ右翼」な人がアメリカ国民の半数もいるとは思わない。この政策は、多様性のあるアメリカ国民の比較多数に届いている。
そしてこの政策で時間をかせぎ、ロシアとの交渉などの準備を行い、軍事作戦を行うのだろうと思う。

予測その⑤
イスラム過激派のテロ根絶政策は、「オルタナ右翼」的政策と、「リアリズム派」的政策が、混在一体となった政策が打ち出されていく。
その一見わけがわからない組み合わせの裏側では、アメリカ国民の比較多数の支持を狙い、演出がなされていく。
それによって稼いだ時間を使い、同盟国だけでなくロシアとの協同も行いつつ、軍事作戦を遂行する。トランプ政権は、イスラム過激派に対する軍事力行使を躊躇しないと予測する。
ISなどのテロ組織は、ダメージを被る。
しかし、テロリズムはより細胞化し、ホームグロウンテロの脅威*2は、世界中に広がると思う。



シェールオイル開発と環境対策

アメリカの経常収支の赤字額は、4840億ドル(2015年)*3
石油輸入額は、1325億ドル(2015年)*4
トランプ政権の貿易赤字を削減するという政策目標を掲げているが、原油を増産し輸入額を削減することができれば、この目標を達成できると考えるのが自然だ。

安全保障上も、中東の石油に依存しなくなることは、有利に働く。
トランプ政権のエネルギー政策は、経済政策とも軍事政策とも整合性がとれている。

逆に、大きな矛盾を抱えるのが、環境保護だろう。
トランプ政権は、オバマ政権時代の環境保護政策を全否定し、シェールガス・オイルの開発に障害となっている規制をとりはらっていくと思う。

予測その⑥
トランプ政権は、シェールガス・オイルの開発の障害となっている規制を撤廃していく。オバマ政権時代の環境保護政策は、全否定される。
それは、環境保護を訴える人の反発を招き、トランプ政権との衝突は激化していくと予測する。

予測その⑦
原油価格は、生産国の生産調整で一旦上昇すると思われるが、アメリカのシェールガス・オイルの増産が進むにつれ、弱含みとなると予測する。
それは、原油生産国の経済にとりダメージとなる。
原油価格が弱含みで、原油がだぶつき気味になる状況は、ロシアの外交にも影響を及ぼす。ロシアの石油輸出先がヨーロッパ主体である(現在約6割)状況は変化しないだろうが、ロシアは中国と日本への石油輸出を増やすよう動くだろう。
一方、OEPCの影響力は減少すると思う。



対日政策

就任前の発言も含めて、トランプ大統領が日本に要求した主な項目は次の通り。
自動車産業非関税障壁をなくせ」
「為替を操作し円安誘導するのをやめろ」
日米安保条約へのタダ乗りはやめろ」

さて、これらの発言だが、就任後10日余りが過ぎ、トランプ大統領の暴言とも思われる一連の発言について、単なるはったりではなく、本気でやろうとしていることだと考えを変えた人は多いと思う。

アメリカのTPP離脱は決定的で、トランプ大統領が翻意するとも思えないので、トランプ大統領が求める二国間貿易協定の交渉に、日本は応じざるをえないと思う。
www.yomiuri.co.jp
アメリカに誤認識があるものについては、それを正していく必要はあるだろうが、そんなに誤認識はないと思う。トランプ大統領自身は、首脳会談で二国間貿易協定の交渉を要求するだけに留め、交渉そのものは交渉担当者が任命されると思うからだ。

トランプ政権が考える二国間貿易協定の目的は、貿易赤字削減とアメリカの雇用確保である点を忘れないようにしたい。
貿易赤字削減について、アメリカ側が日本に自動車産業非関税障壁撤廃を求めるなら、逆に日本はアメリカに日本がほしいものを輸出するよう要求すべきではないだろうか。
例えば、今後増産するはずのシェールオイル。日本も原油輸入先の多角化は国益に沿う。
あるいは、iPhoneなど高付加価値の電子通信機器工場をアメリカに取り戻すよう要求し、それを輸入することでもいい。
トランプ大統領は、交渉相手に大きく要求し、自分の望む取引をしようとするだろう。日本もアメリカに大きく要求しなければ、ずるずると譲歩を迫られることになる。

「日米成長雇用イニシアチブ」はよいアイディアと思うが、トランプ政権はそれだけでは満足せず、貿易赤字削減策を日本に飲ませようとするのは必定と思う。
jp.reuters.com

為替については、トランプ政権が導入しようとしている「国境税調整」の導入等で大きく動くものであり、「国境税調整」がどんな内容なのかわからない状況では予測のしようがない。もっとも「国境税調整」が導入されれば、自動車産業などは否応なくアメリカでの現地生産を進めざるをえなくなるので、交渉もそこそこに導入するのかもしれない。申し訳ないが、未決定事項が多いため、この件は保留にしたい。

一方、安保タダ乗り論についてだが、この件はそんなに心配していない。
トランプ政権には「ラスボス」中国との交渉が待ち構えている。
その交渉において、アジアにおけるアメリカ軍のプレゼンスの確保はアメリカにとり重要なものであり、日本が日米同盟でアメリカに対して貢献しているものは、地政学的な意味においても、駐留経費負担の意味においても、とても大きいものだと思われる。
逆に、軍国主義に突っ走る中国に対抗するため、日本も自衛隊装備を充実させ対応力を強化することが必要であり、それはアメリカの国益にも一致するので、歓迎されると思う。
トランプ政権になっても、安全保障分野では、日米関係は良好な状態を保てるだろう。

予測その⑧
日本は二国間貿易協定の交渉を受けざるをえない。アメリカからの要求は強く大きく交渉は難航すると予測する。交渉では日本もアメリカに大きく要求した方がよいし、交渉が進むにつれそうなっていくだろう。
二国間貿易交渉が難航することでトランプ大統領の攻撃(口撃?)は何度もあるだろうが、日米関係全体を悪化させることはないと思う。
なぜなら安全保障と日米同盟に対する認識は一致しており、安全保障上の日米関係は良好な状態が続くと考えられるからだ。
但し、今後アメリカと中国との関係悪化が予想される。その結果、自衛隊もアメリカ軍も大きな緊張を強いられる状況になり、それが続くと予測する。




対中政策

対中政策は、前述した『米中もし戦えば 戦争の地政学』に書いていることがどれだけ実行されるか見守ることにして、予測しないでおこうと思う。
再度指摘しておきたいのは、『米中もし戦えば 戦争の地政学』は、「国家通商会議」の委員長が自ら書いた本ということだ。中国との通商交渉で、ナヴァロ委員長自身が陣頭指揮をとるなら、それは相当強硬な要求になるだろうと思う。



対ロシア政策

ロシアとの関係改善が一気に進むとは思わない。一気に進めると、トランプ大統領のスキャンダルが持ち出されるかもしれないという点も抑制的な動きに繋がる。
しかし、オバマ政権と違って、いずれロシアとは融和的になるだろう。
トランプ政権は、中国と強く対決しようとしていると思う。そんなときに、中露両国と対立するのは得策でないし、中露を接近させてしまったら、中国との交渉に差し支えがでる。



トランプノミクスの行方

トランプ政権の経済政策によって、アメリカ経済が成長するのかしないのか、今の時点では予測はできない。
二国間貿易交渉の行方、国境税調整の中身などに大きく影響するからだ。

二国間貿易交渉がアメリカのよいように締結できれば、アメリカの経済は成長するだろう。

国境税調整は、一般的にはドル高が進みインフレになると言われる。輸入品の価格が上昇するため、アメリカ国内におけるアメリカ製品の価格競争力が上がり、製造業の雇用が増えるかもしれない。だがインフレになれば消費が落ちるという悪影響がある。その一方で、税収は上がると考えられ、それをインフラ再構築(公共事業)に使うことで経済成長に繋がる可能性がある。国境調整税は、アメリカの経済成長にプラスの面とマイナスの面があり、影響の予測が難しい。少なくとも、具体的な内容が決まるまでは、効果を予測することができない。

法人税減税と所得税減税は、経済成長にはプラスになる。それからシェールオイルの増産は、少なくとも短期的には経済成長にプラスだろう(長期的には環境保護の対策費が増大し経済成長にマイナスの影響がでる可能性はある)。

未決定事項が多すぎて、現時点で予測するのは不可能だ。申し訳ない。



トランプ大統領は、パンドラの箱を開けた

トランプ大統領は、厄災の詰まったパンドラの箱を開けた。パンドラの箱の中身はトランプ大統領が詰め込んだわけでない点は、大事なことなので強調しておきたい。
厄災を詰め込んだのは、冷戦終結後の歴代の大統領と政権だ。

クリントン大統領は、パンドラの箱に「軍国主義化し脅威となる中国」を詰めた。
ブッシュJr大統領は、パンドラの箱に「イスラムの人々の怒りと悲しみ」を詰めた。
オバマ大統領は、パンドラの箱に「大量難民という問題」を詰めた。
3人の大統領が、パンドラの箱に「富の偏重と格差拡大」を詰めた。
3人の大統領が、パンドラの箱に「アメリカからの製造業の流出」を詰めた。
3人の大統領が、パンドラの箱に「忘れられたアメリカ人の怒り」を詰めた。
そして、パンドラの箱の中には「リーダー国なき世界」という混沌が育った。

予測その⑨
トランプ大統領は、厄災の詰まったパンドラの箱を開けた。
そして、「リーダー国なき世界」という混沌が飛び出た。
それは、たとえトランプ大統領が早期に罷免され退場したとしても、もう箱の中に戻らない。
世界は、混沌という新たな秩序(?)の時代になった。
せめて、パンドラの箱の中に、「希望」が残っていますように。

(最後は予測じゃなくて願望を書いてしまいましたね。申し訳ありません。)



追記:トランプ大統領との交渉について

トランプ大統領は、敵認定すると容赦ないと思われる。それは同盟国であってもだ。
同盟国といっても、その国の影響力とアメリカに対する貢献の差で、本音レベルでは同じ扱いであるはずもない。それでもこれまでの大統領であれば、儀礼的に対応していたであろうが、トランプ大統領は「儀礼などくそくらえ」であろうと思う。交渉の中で、トランプ大統領の考えと真っ向から異なるものをぶつけられると、即座に敵認定される。
「正しいものは正しい」そういう外交を選ぶのもよいが、アメリカとの良好な関係がその国の国益に繋がるのであれば、交渉方法はおのずと限られる。
たぶん、その観点では、ドイツのメルケル首相はトランプ大統領と徹底的に合わない。
オーストラリアのターンブル首相の考え方、主張は全く正当なものと思うけれど、国益を考えたときにどう対処すべきであったかは、意見がわかれるところだろう。
トランプ大統領は、扱いづらい。
だが、1国を背負う以上、うまく付き合うしか方法はないと思う。あれでも「自由陣営」の盟主なのだから。
www3.nhk.or.jp


追記その2:対EU(特に対ドイツ)政策について

www.newsweekjapan.jp
本文にも書いたが、アメリカは対ドイツとの貿易で、対日本以上の貿易赤字を出している。
トランプ政権の政策から考えると、貿易赤字削減を求めて、日本やメキシコに対するのと同じか、それ以上の強い圧力を加えてくるだろう。
ただドイツが有利な点は、日本とメキシコとは違い、通貨がユーロという多くの加盟国のある統一通貨であることだ。ユーロがドイツを守っている。ナヴァロ氏の「ユーロは過小評価されている」という批判は、ドイツに対しては正しく、イタリアやスペイン、ギリシャなどの南欧諸国に対しては正しくないと思う。私は、ユーロはドイツには通貨安で、南欧諸国には通貨高だと思う。
南欧諸国は、本来通貨安にして経済的な苦境を脱出したいと考えるはずだが、統一通貨であるゆえに思い通りにいかない。その一方でドイツは輸出で優位にたつ。
「ドイツはもっと支援すべきだ」との批判は南欧諸国からもでている。
一方、ドイツ国民は、なぜ自分たちの税金で南欧諸国を支援し続けねばならないのかと考えている。
アメリカのトランプ政権は、ドイツは不公正な貿易を行っていると見ている。
この状態が長続きするようには見えない。
ナヴァロ氏はその綻びをついたのだろう。
トランプ政権が、ユーロの崩壊を目的にしているとは思わない。だが、目的にしている「ドイツの対米貿易黒字の削減」を目指す対応が、ユーロの崩壊を招きかねないのは事実と思う。
上記のニューズウィークの記事は、目的と結果を逆転して書いているように思う。