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ロシアのウクライナ侵略は新たな世界秩序の始まりか?

https://pbs.twimg.com/media/FLzf135XoAESGXA?format=jpg&name=small

はじめに

ロシアのウクライナ侵略に強く抗議する。力によって他国を従わせる。こういったことを許してはいけない。ウクライナが既に受けた被害、これから起こるであろう受難に心を痛める。私は言葉を発することしかできない。だからせめて気は心だけでもとウクライナへのシンパシーを示したい。
私もJSF氏にならい、今後、ウクライナの地名のカタカナ表記については今後ウクライナ語由来のものに統一したいと思う。なお従来のロシア語由来表記については初出時に( )書きとして表記する。調べつつ書くので間違うかもしれないが間違いがあれば直していきたい。
news.yahoo.co.jp

ロシアの進撃ルート

2022年2月24日、ロシアはウクライナを侵略した。イギリス国防省が2月17日にロシアの侵略ルート予測をツイートしたが、この予測はほぼ正しいようでロシアは主に3つのルートで戦っているように思える。


3つのルートとは次の通り。

  1. ロシアとベラルーシ国境から侵攻しキーウ(キエフ)を東西から攻撃するルート
  2. ロシア国境とドンバスの親ロシア派支配地から侵攻しドニプロ(ドニエプロペトロフスク)を目指す攻撃ルート
  3. クリミアから侵攻しオデーサ(オデッサ)を目指す攻撃ルート

上記の3は、イギリス国防省の予測図では点線で書かれているが、既にオデーサ州で戦闘が発生しているという複数の情報がある*1*2

実はイギリス国防省がツイートする1日前に、私も次のようなはてなブックマークコメント(以降「はてブ」と省略)を書いた。イギリス国防省の予測とほぼ一致しているのがわかると思う。

【詳しく】緊張続くウクライナ ロシアが侵攻したら何が起きる? | NHKニュース

露の軍事作戦は①露とベラルーシの両方の国境からキエフに向け東西から攻撃、②ドンバスの支配地を拡大、③オデッサを奪取し沿ドニエストルの回廊を確保。この3作戦の集合体と見ている。ここに示されたどれでもない

2022/02/16 14:05
b.hatena.ne.jp

この投稿では私はなぜこのような侵略ルートだろうと予想したか、その理由を説明することで、ロシア(プーチン大統領)の意図を考えることにつなげていきたい。

キーウへの侵略

ロシアとウクライナの緊迫度が増し、ロシアによるウクライナ侵略の可能性が高いと考え始めたのは、2021年12月ごろからだった。そしてロシアによる侵略が起こるとしたらどのようなものか考え始めた。
考えをまとめながら12月10日に私が書いたはてブが次のものだ。

米露首脳会談でも止まらない ロシアによるウクライナ侵攻の危機(小泉悠) - 個人 - Yahoo!ニュース

僕はベラルーシの動きを注視している。露軍が正攻法で侵攻すればドニエプル川が防壁となる。電撃的な侵攻のためにベラルーシ側からも侵攻を行うのではないか?ウクライナは外交的な戦争回避の努力を続けるべきだろう

2021/12/10 15:09
b.hatena.ne.jp

なぜロシアは電撃的な作戦をとると考えたか

ロシアは領土拡大を望んでいるわけではないと考えた。プーチン大統領が起こしたこの侵略は明らかに国際法違反で不正義と思うが、その前に2014年にウクライナで起こったユーロ・マイダン革命で親ロシア派のヤヌコーヴィチ大統領(当時)が失脚しロシアに亡命せざるをえなかったことを思い出すべきと思う。この革命の裏面でアメリカのオバマ政権(当時)がその騒乱の初期から強く関与したことは今では広く知られている*3
ウクライナのユーロマイダン*4は、市民運動という性質ももちろん持つが、一方、当時のヤヌコーヴィチ政権もまたウクライナでの民主的な選挙によって成立した政権であることは考慮すべきだろう。
民主的な手続きによって成立した政権に反対する市民運動に他国が強く関与する。これは内政干渉ではないか。大統領選の不正などに対する立場等によって見方は変わると思うが、プーチン大統領がこれは内政干渉であり国際法違反と強く反発するのは理解できる。アメリカは他国の市民の不満を煽り政権を転覆する。それはロシアでも起こりうる。そのように強い警戒心を持つのも理解できる。
ロシアの戦争目的は「二度とウクライナアメリカが手をだせなくする」ことだと考えた。その前提でロシア側に立って考えると、戦争開始後、ウクライナのゼレンスキー政権がキーウから逃れ、例えば北西部のリヴィウに臨時政府を移し抗戦を続けることは避けたいと考えるだろうと思った。
そのためには電撃的な作戦を行いキーウを制圧し、ゼレンスキー大統領および要人を捉えあるいは殺害し、ウクライナ政府を転覆することが最重要目標になる。それがロシアが電撃戦を考えるだろうと予想した理由だ。

キーウの主要施設は市街西部にある

ある国の政府を転覆する。当事国の軍や武装勢力が行えばクーデターと呼ばれ、市民勢力が行えば革命と呼ばれることが多いが、その時に狙われる施設はおおよそ決まっている。元首府、議事堂、政府機関、放送局、空港などだ。そこで私はGoogle Mapを使って、キーウのそれらの施設の場所を調べてみた。
キーウは特徴的な都市で、市街の真ん中をドニエプル川という大河が流れている。Google Mapは衛星写真があるのでそれを使いキーウ市街および近郊のドニエプル川の東西をつなぐものを調べると、6つの道路橋、1つのダム堤と2つの鉄道橋があるのがわかる*5。そして元首府、議事堂、政府機関、放送局、空港などの主要施設の多くは、市街の西側に位置することがわかった。
もしロシア軍がロシア国境から侵略すればドニエプル川が自然の要害となる。冬季は凍結しているので舟艇は使えない。戦車など重量物は氷の上を渡れない。臨時橋を架けるにはドニエプル川は大きすぎる。つまり橋などの渡河地点を破壊すれば進軍は大きく阻害されるということだ。それを避けるためにはドニエプル川の西側からキーウを攻撃するしかない。こう考えるとベラルーシの協力なしにはこの作戦は成立しないと思った。ベラルーシへも外交的働きかけは行われたと思っているがロシアとベラルーシの同盟の強固さだけが印象に残った。

アントノフ空港へのヘリボーンとキーウ西部への軍展開

ロシア軍がドニエプル川西岸から攻撃をするとは予想したが、ロシア軍がキーウ北西のアントノフ空港へヘリボーン(ヘリコプターを使って兵員を運ぶ強襲作戦)を行ったのは少し驚きがあった。
ヘリボーン作戦は比較的少数の兵力しか送れず、一旦目標を占拠しても強い反撃を受けることが多く、リスクのある作戦だからだ。
情報が錯そうしていて現状はつかみづらいが、アントノフ空港はウクライナ軍が一旦奪回したものの、ロシア軍が再奪取して現在はロシア軍の占領下にあるようだ。
もしそうならばアントノフ空港に兵力を空輸してキーウ西部のロシア軍の兵力が時間と共に増強される可能性が高い。
真偽はわからないがロシアはキーウ西部を封鎖したと発表した。ロシアとウクライナの停戦が合意されなければ、キーウ西部からロシア軍が突入し市街戦となるだろう。これがこの戦争の最大の焦点となると思う。
市街戦は大きな被害がでる。特に一般住民の被害が心配だ。停戦合意が待たれる。
この投稿を書いている2月27日現在、キーウのウクライナ軍は組織的な抵抗を行っている。だがロシア軍とウクライナ軍の戦力差は大きく、いずれロシア軍が制圧することになると思われる。
nordot.app
www.nikkei.com

ハルキウ(ハリコフ)攻撃とドニプロを目指した侵攻(東部戦域)

侵略者にも大義名分は必要だ。2014年のクリミア併合とドンバスでの戦争において、ロシアはロシア系住民の保護を理由にあげた。今回のウクライナ侵略も同じ理由をあげている。それも予想通りだった。つまりドンバスを守る*6ことはロシアの大義であり、ドンバス周辺への攻撃は必ず行われるものと予想した。

ロシア軍の配置の情報

このロシアによるウクライナ侵略は、アメリカが積極的に情報を提示したこと、SNSによる個人の情報発信、商業衛星の画像などによって、事前のロシア軍の配備状況がかなり正確にわかった。
これは特筆すべきことと思う。私はこれらの情報があったので、ウクライナ東部での侵略ルートをある程度予想できた。
代わりに意図的な偽情報も多く出回っている。ロシアは様々な偽情報を流している。私もできる限り偽情報をつかまないようにしているつもりだが、もし偽情報をつかんでいたら申し訳なく思う。その時には記述を修正したいと思う。
www.bbc.com

ロシア軍の東部戦域の主たる攻撃目標がハルキウとドニプロと考えた理由

キーウに対する攻撃がゼレンスキー政権の瓦解を目指したものであるのに対し、東部戦域の攻撃理由は、ウクライナ軍の継戦能力の破壊にあると考えた。短期的にはウクライナ軍の指示系統と補給体制の破壊であり、長期的には軍備能力(軍事工場)の接収もしくは破壊になる。

ハルキウには、マールィシェウ記念工場*7があり、ウクライナ陸軍の主力戦車であるT-84などを製造している。長期的な視点では、ロシアがハルキウの軍事工場を接収あるいは破壊すればウクライナ軍の再建は困難になる。またハルキウには陸軍および空軍基地があり、ドニプロの項にも書いたがウクライナ軍東部作戦司令部傘下の部隊の大包囲を行うために攻撃は不可避だろうと予測した。

  • ドニプロ

ドニプロには、ウクライナ陸軍の東部作戦司令部(1個戦車旅団、4個機械化歩兵旅団、1個砲兵旅団他)の本部がある。またドニエプル川の渡河地点でもある。ドニプロはウクライナ東部の要衝であり、ロシアはハルキウを経由した軍と、ドンバスからの軍によってウクライナ東部のウクライナ軍を大きく包囲することを狙うと考えた。包囲されれば補給路を断たれることになるので、ウクライナ東部のウクライナ軍は壊滅するだろう。ドニプロは、ロシア軍にとって東部戦域の最終目標と思う。

現状

情報は錯そうしているが、ドンバス正面のウクライナ軍は頑強に抵抗しており、ロシア軍は足止めされているようだ。
一方、クリミアから北東への部隊移動が確認され、さらにマリウポリ西部にロシア海兵隊が上陸したという情報がある。南からの攻撃の方が早いかもしれない。
www3.nhk.or.jp

オデーサと沿ドニエストルへの回廊

ウクライナの継戦能力を奪うために、ロシアはウクライナに対する外国からの支援ルートを遮断することを考えるだろうと思った。
黒海には常駐の黒海艦隊に加え、北海艦隊、バルト海艦隊からも艦船を引き抜き集結させているので、それらの艦船を使い黒海からの支援ルートは遮断していると思うが、それに加えオデーサの港湾も押さえることで、ロシア軍の補給ルートを確立する一方、外国からの支援ルートを完全に遮断できると考えた。
さらに隣国モルドバドニエストル川東岸の細長い地域*8は、沿ドニエストル共和国*9を自称するモルドバに対する反政府組織が実質的に支配している。この組織は親ロシアであり、小規模(2個大隊)とはいえロシア軍も駐留している。ウクライナと戦争状態になれば沿ドニエストルに駐留する軍が孤立するので、回廊を確保する動きはあるだろうと考えた。
とはいえ、キーウに対する侵略や東部戦域に比べると小さな部隊での侵略とは思うが、その2つとは別の目的と考えたので、分けて考えている。
 

プーチン大統領の意図を推測する

プーチン大統領のリスク

この侵略における最初の目的は、ウクライナのゼレンスキー政権の転覆であることは間違いないだろう。そして親ロシアの政権を擁立し、ウクライナNATOとの緩衝地帯にすることを目指している。ここまでについては、識者の分析もほぼ一致していると思う。
しかしこれだけのためにプーチン大統領は大きな賭けにでたのだろうか?
もしこの軍事作戦に失敗すれば、プーチン大統領の求心力は大きく損なわれ、クーデターが起こるかもしれない。クーデターを防いでも次の大統領選挙で勝てる見込みはほとんどなくなる。政権を失えば戦争犯罪人として裁判にかけられるかもしれない。憲法を停止して政権を固守しても求心力がなくなった状況では暗殺されるかもしれない。国際法違反と欧米からの強い反発をうけることを理解したうえで、さらに失敗の大きなリスクも抱える。プーチン大統領ウクライナの政権を交代させるためだけにそのリスクを抱えたのだろうか?

ミアシャイマー教授の「Getting Ukraine Wrong」論文

ここで2014年のウクライナ騒乱の時に、ミアシャイマー教授がオバマ大統領(当時)の政策を批判して書いた論文を提示したい。シリアとアフガニスタンアメリカの関与が失敗に終わったことで逆にロシアの協力が必要なくなったことを除くと、8年経った今でもこの論文の指摘内容は生きている。
geopoli.exblog.jp

そして将来のウクライナの政府にたいしては、少数派の民族の権利、とくに公用語としてのロシア語の立場を尊重するように求めるべきなのだ。

この論文の発表から6年後の2020年、ウクライナはロシア語の広告を禁止する法を制定した*10

オバマ大統領はロシアとウクライナにたいして新しい政策を採用すべきだ。それは、ロシアの安全保障面での権益を認めつつ、ウクライナの領土の統一性を支持して、戦争を防ぐというものだ。

オバマ大統領(当時)は政策を変えなかった。そしてオバマ政権の副大統領であったバイデン氏が大統領になり、オバマ大統領(当時)の政策に戻した。バイデン大統領は地政学ではなくNATOの開かれた条約という大義に忠実だった。そしてついに戦争は起きてしまった。この戦争が終わったのち、ウクライナの領土の統一性は維持できているのだろうか?

ロシアと良好な関係を維持することは致命的に重要だ。なぜならアメリカは(中略)中国に対抗するという意味において、モスクワ政府の助けを必要としているからだ。
アメリカにとって唯一のライバルとなる本物の可能性を持っているのは、中国だからだ。

ロシアはアメリカと対決し中国と協調する道を選んだようにみえる。アメリカはヨーロッパと東アジアと両面で同盟国に対する義務を果たすことが可能なのだろうか?

オバマ大統領(当時)がはじめた戦争

私はウクライナは2014年から8年間ずっと戦争を戦っていると思っている。そしてその戦争はオバマ大統領(当時)がはじめ、プーチン大統領が拡大した戦争だと考えている。
ウクライナアメリカの代理戦争を戦っている。だがアメリカ軍が派兵されることはない。この戦争にウクライナの利益はない。それなのに、多くの兵士が死に、一般人にも多くの犠牲が出ることになる。ウクライナ国民の愛国心には心が震える。だからこそ一層痛ましく思う。
一方、プーチン大統領の側からみると、ロシアはウクライナではなくアメリカと戦っていると考えていると思う。これが私が言いたかったことだ。
NATOを拡大するなと開戦の直前までプーチン大統領が警告していたことを忘れてはいけない。それを拒否したのはアメリカだ。この侵略戦争の最大の責任はロシアにある。それは間違いはない。だからロシアを強く非難する。だがこの戦争の8年間の経緯をみれば、アメリカにも責任があると考える。アメリカはウクライナ政策を間違ったのだ。

新COMECON経済圏構想

ロシアはアメリカと戦っているという認識だと分析した。もしその分析が正しいのであれば、ロシアは(アメリカ主導の)貿易ルールから排除されることを覚悟していると思う。国が立ち行かなくなってはいけないので、アメリカから排除される以上、ロシア主導の貿易ルールで貿易できる経済圏の成立を目指すと考える。それをこの投稿では「新COMECON経済圏」構想と呼ぶことにする。
ロシアの主要な輸出産品は天然ガスで、これが輸出総額の半分弱を占める*11。現在天然ガスは高止まりしており、輸出先さえ確保できれば利益をあげることができるだろう。ヨーロッパ、特にドイツはロシアの天然ガスに依存しているので、ロシアからの天然ガス輸入を止めるわけにはいかないと思う。SWIFTから排除*12されても、金決済で輸入を続けることは十分考えられる。またヨーロッパと並ぶ輸出先である中国とは人民元決済に移行するだろう。中国は中国で強力な経済を背景とした人民元決済圏、それを私は「新朝貢国経済圏」と呼びたいのだが、そういうブロック化を企図しているようにみえる。
ロシアは旧ソ連圏の諸国を「新COMECON経済圏」としてまとめる一方、ロシアの天然ガスを必要とするヨーロッパの国と制裁逃れを画策しつつ、中国とは人民元決済を行うのではないだろうか。
アメリカとEU諸国、および日本などが行うロシアへの制裁は、「ドルを主軸通貨とする経済圏」と「新COMECON経済圏」、「新朝貢国経済圏」の3つの経済圏成立の始まりの出来事となるかもしれない。
制裁には対策があると考えるべきだ。

戦後パッケージ

ロシアはロシア主導の「新COMECON経済圏」構想を持っているならば、それに加えたいと考えるのは旧ソ連圏の国となるだろう。それらの国に厳しい条件を出したら、「新COMECON経済圏」には加わるはずもない。
ウクライナに対してもこの戦争の終結後、「新COMECON経済圏」入りを期待しているのではないだろうか。
私は、ゼレンスキー大統領の交代、中立化、ウクライナ軍の縮小、クリミアのロシア編入とドンバスの独立の承認(ドンバス戦争終結)を前提に、ロシアはウクライナとの間で天然ガスの安定的な供給を約束し、ウクライナの復興と経済支援をパッケージにするのではないかと考えている。ロシアはこの戦争を相当準備して開戦した。戦後のことも準備していると考えても不思議ないだろうと思う。
この戦争の帰趨はほぼ揺るがない。ウクライナはその現実を受け入れてよりよい条件をロシアから引き出す方が賢明に思える。この戦争が終結すれば、日本も他国もウクライナの支援に乗り出すことができる。捲土重来。今は国力を蓄えるべき時だ。
 

日本にとっての教訓

ミアシャイマー教授は、2015年に「ウクライナ危機は中国を利す*13」と日本での講演で警告している。その警告は今も有効だ。日本にとってもアメリカにとっても一番警戒すべきはロシアではなく中国であるのはいうまでもない。
ロシアによるウクライナ侵略は「自国を守る力がない国は他国から侵略される」ことがあるという有史以来続いていた世界秩序が21世紀の今も続いているという、当たり前でありふれた警告を与えていると思う。冷戦終結から続いたアメリカ一強の時代、パクスアメリカーナの時代は去った。
残念ながら憲法9条は日本が侵略戦争を起こさないための制約であって、他国はそれに縛られない。ロシアは冷戦終結によって封印されたパンドラの箱を開けてしまった。これからは(日本は侵略戦争を行わないが)他国から侵略されることもありうるものと想定して安全保障政策を考えなければならない。具体的には、東アジアで最大の軍隊である中国軍からどうやったら日本を守れるかという議論が必要になるだろう。そのためには、対中国の軍事戦略を練らないといけない。中国との間には大きな経済力の差と人口の差がある。中国と同じ軍備はできない。その前提で軍事戦略を考え、それに必要な法整備(憲法を含む)と軍備を整える必要があろう。
私は、日本版の接近阻止・領域拒否戦略*14を策定し、それを実行できる軍備*15を整える必要があると考えている。
そして何よりも「日本は日本国民自身で守る」という気概を持たないといけないだろう。
その気概があってこそ日米同盟が力を持つことになる。
 

*1:ウクライナ政府「首都キエフ狙ったミサイル攻撃続く」…米紙「オデッサに露軍が上陸」 : 国際 : ニュース : 読売新聞オンライン

*2:CNN.co.jp : 6枚の地図が明らかにするロシア・ウクライナの衝突

*3:ウクライナ危機はなぜ終わらないのか〜欧米vsロシア、相容れない「正義」の論理(廣瀬 陽子) | 現代ビジネス | 講談社(2/4)

*4:ユーロマイダン - Wikipedia

*5:見落としがあれば指摘いただきたい。

*6:ここではロシア側の予測をしているので、あえてロシア側に立った文になっていることをご理解いただきたい。不快に思う人がいることも理解するが、どうかご容赦いただきたい。

*7:www.malyshevplant.com

*8:一部西岸も支配している

*9:沿ドニエストル共和国

*10:ウクライナ、ロシア語広告禁止 影響力排除狙いか:東京新聞 TOKYO Web

*11:第5節 ロシア及び中央アジア:通商白書2018年版(METI/経済産業省)

*12:ロシアのSWIFT排除決定間近か、「数日内」とユーロ圏の中銀幹部 | ロイター

*13:【15-01】ウクライナ危機は中国を利す ミアシャイマー氏が警告 | SciencePortal China

*14:接近阻止・領域拒否 - Wikipedia

*15:具体的には、中長距離地対艦ミサイル、地対地ミサイル、地対空ミサイル、潜水艦などの軍備増強が必要と考えている。